体力が徐々に落ちていく祖母。
火は使わないなど、調理の制限が始まってから台所に立つ時間はガクッと減りました。
”台所に立って調理”といってもそれなりに運動量はあるようで、体力の衰えを感じます。
筋力低下によって起こること
カテゴリ | 具体的な影響 | 補足 |
---|---|---|
移動能力の低下 | 段差や階段がつらくなる、歩幅が狭くなる、歩行速度が遅くなる | すり足歩行になり、転倒リスクが高まる |
姿勢の維持が困難に | 台所に立ち続けるのがつらくなる、背中が丸くなる | 長時間の立ち仕事や外出が難しくなる |
バランス感覚の低下 | 片足で靴が履けない、ふらつきやすい | 転倒による骨折のリスクが上昇 |
握力・手先の衰え | 包丁やお鍋が持ちにくい、フタが開けられない | 台所作業全般に支障が出る |
代謝の低下 | 太りやすくなる、血糖値が上がる | 運動量が減ることで糖尿病など生活習慣病リスクも |
気持ちの低下 | やる気が出ない、自信を失う | 「できない自分」に落ち込むことが多くなる |
要介護状態のリスク | 自立した生活が困難に | フレイル(※1)やサルコペニア(※2)の進行につながる |
※1:加齢による心身の衰え。放っておくと要介護につながる。
※2:筋肉量の減少により身体機能が落ちる状態。
背筋をまっすぐ伸ばすような正しい姿勢は、全身の様々な筋肉を使います。
しかし、使わなくなった筋肉は徐々に小さくなっていくので筋力が落ちていきます。
よって姿勢を保つことが難しくなり、背中が丸まっていくのです。
猫背により、顔が前に突き出すような姿勢は高齢者に多く見られます。
無意識に身体にとって楽な姿勢をとろうとするのですが、必ずしもそれが良い姿勢とは限りません。
私が祖母の姿勢から気づいたことは、”起きているときは猫背、顔が前に突き出しているような姿勢”に対して、”寝るときはフラットな姿勢”になることです。
本来は姿勢を正しく保つくらいの筋力をつけるのが一番なのですが、そのための運動をするのは高齢の祖母にとって難しいところです。
今現在、祖母にとって無意識で楽な姿勢が猫背なら、寝ているときは無理やり身体を伸ばす形になります。
これは負担はないのだろうかと思い、身体について調べたことを以下に紹介していきます。
1. 重力と体の負荷からの解放
- 立位・座位の猫背:
- 起きているときは、重力が常に上から下へかかっています。猫背の姿勢は、その重力に抗うための筋肉が弱かったり、デスクワークなどで前傾姿勢が続いたりすることで、背中が丸まってしまう状態です。
- この姿勢は、背中や腰の筋肉に常に負担がかかっている状態でもあります。
- 仰向け寝のフラットな姿勢:
- 仰向けで寝ると、体重が敷布団やマットレスに分散され、体にかかる重力の負荷が大きく減ります。
- これにより、起きているときに猫背の原因となっていた、背中や腰の筋肉の緊張が緩み、自然と背骨が真っ直ぐになりやすくなります。
2. 理想的な寝姿勢
- 背骨のS字カーブ:
- 仰向け寝は、背骨が立ったときの自然なS字カーブを保ちやすい理想的な寝姿勢と言われています。
- 猫背の人は、日中の丸まった姿勢から、このフラットな姿勢に戻すことで、背骨や筋肉の歪みをリセットする効果が期待できます。
- 仰向けに寝ることで、背中や胸が開き、呼吸がしやすくなるというメリットもあります。
3. ただし、注意点
- 猫背がひどい場合:
- 重度の猫背の場合、仰向けで寝ようとすると、背中や腰の筋肉が伸ばされることで痛みを感じることがあります。これは、普段縮んでいる筋肉が無理に伸ばされるためです。
- このような場合は、膝の下にクッションや丸めたタオルを置いて寝ると、腰の負担が軽減され、楽に仰向けで寝ることができます。
- 寝具の影響:
- 枕の高さが合っていないと、仰向けでも首が不自然に曲がり、首や肩に負担がかかることがあります。
- 敷布団やマットレスが柔らかすぎると、お尻が沈み込みすぎてしまい、腰への負担が大きくなる場合があります。
結論として、起きているときの猫背と、仰向けで寝るときのフラットな姿勢は、重力という外的な要因と、それを支える筋肉の緊張状態が変化するために起こる現象と言えます。仰向けで寝ることは、猫背の改善にもつながる良い寝姿勢とされています。
まくらの選び方
顔が前に突き出ているストレートネックの方に合った枕を選ぶことは、首や肩への負担を軽減し、症状の改善にもつながります。
そのような方におすすめな枕の選び方には、いくつかの重要なポイントがあります。
1. 適切な高さ
ストレートネックの方にとって、枕の高さは最も重要な要素の一つです。
- 高すぎる枕は避ける:
- 高い枕は、頭が持ち上がりすぎて、日中の猫背のような姿勢を寝ている間も続けてしまうことになります。これにより、首のカーブが失われ、症状を悪化させる可能性があります。
- 低すぎる枕も避ける:
- 低すぎる枕もまた、首が反りすぎてしまい、これも首に負担をかけてしまいます。
- 理想的な高さ:
- 仰向けに寝た時に、首の自然なカーブが維持できる高さが理想です。横から見たときに、首から頭にかけての角度が10〜15度になるのが良いとされています。
- 顔が前に突き出ている方は、日中の姿勢で首の後ろの筋肉が縮んでいるため、低い枕の方が楽に感じる傾向があるかもしれません。しかし、枕の高さは仰向けだけでなく、横向きに寝た時にも合わせることが重要です。横向き寝の際は、肩幅の分だけ高さが必要になるため、仰向けと横向きの両方に対応できる調整機能付きの枕がおすすめです。
2. 適度な硬さと弾力性
- 硬すぎず柔らかすぎない:
- 柔らかすぎる枕は、頭が沈み込みすぎてしまい、頭や首が安定しません。そのため、寝ている間も首に余計な力が入ってしまい、筋肉の緊張につながります。
- 硬すぎる枕は、頭や首にフィットせず、隙間ができてしまうため、これも首を支えきれず負担になります。
- 頭と首をしっかりと支える:
- 高反発ウレタンやファイバー素材の枕は、適度な硬さと反発力があり、頭の重みをしっかりと支え、スムーズな寝返りをサポートする効果が期待できます。
3. 寝返りが打ちやすいサイズと形状
- 幅が広い枕:
- 人は一晩に何度も寝返りを打ちます。枕の幅が狭いと、寝返りを打ったときに頭が枕から落ちてしまい、首に負担がかかる可能性があります。
- 寝返りを打っても頭が落ちないように、頭3つ分ほどの横幅がある枕を選ぶのがおすすめです。
- 凹凸のある枕:
- 中央が低く、両サイドが高くなっている「くぼみ型」の枕は、仰向け寝と横向き寝の両方に対応しやすい形状です。
- 仰向け寝の時は中央の低い部分で首のカーブを支え、横向き寝の時はサイドの高い部分が肩の高さにフィットすることで、寝姿勢を安定させることができます。
4. 高さが調整できる枕
ストレートネックの改善は一朝一夕にはいきません。日中の姿勢改善とともに、症状が徐々に良くなると、枕の合う高さも変わってくる可能性があります。そのため、中材の出し入れなどで高さを細かく調整できる枕を選ぶと、体の変化に合わせて長く使うことができます。
まとめ
顔が前に突き出ているストレートネックの方には、「適切な高さ」(高すぎず低すぎない)、「適度な硬さと弾力性」、そして「寝返りが打ちやすいサイズと形状」を兼ね備えた枕がおすすめです。
可能であれば、実際に店舗で寝心地を試し、専門家に相談して自分に合った枕を選ぶことが、症状の改善への近道となります。


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